障子糊が如く

ネクロマンサー1

ネクロマンサー1

 そこは、とある街の宿。

 ろうそく蝋燭の薄明かりだけが、ひっそりと周囲を照らしている。

 孤独な明かりの元で会話をしているのは、三人の人物。

 その一人、肩幅が狭くきゃしゃ華奢な体つきをした、白いローブを纏った金髪碧眼の青年が口を開いた。

 「本当に……殺すのかい?」

 その隣りには、彼とは対称的な屈強な青年が鎮座していた。黒い剣を傍らに携えており、彼の瞳と頭髪は剣と同様の全てを塗り潰すような漆黒だ。

 「……殺さなければならない……すでに死んだ者のせいで、今を生きる者が死ぬ事は許されることではない……」

 迷いを断ち切ろうと自分自身に言い聞かせているかのようだ。

残る一人の人物は女性だ。美形といえる容姿の持ち主だ。瞳の色は海を思わせる淡い青。その頭髪の色は、言うなれば太陽の『夕焼け』の色。腰の辺りまである見事な長髪は水面に光が反射する様に、鮮やかな光沢を放っている。

しかし、その美女の耳は常人よりも尖っており、手の爪も同様に細く鋭く見える。

「ユート、セインを止めるなら、今のうちよ」

 彼女の言葉に対し、白いローブの青年は、首を横に振った。

 「…サン…僕は…セインの意思を尊重する……何より、僕には止められない……」

 セインは重々しい口調で呟く。

 「この世界は矛盾で満ちている……そして、俺達には立ち止まって考える余裕も、時間も無い……」

 セインはゆっくり立ち上がって言った。

 「ユート、部下達に連絡を。命令通り『ネクロマンサー死霊使い』を抹殺する、と……」

 苦渋に満ちた表情で、セインはユートに命じた。