障子糊が如く

ネクロマンサー2

ネクロマンサー2

部屋の中央には魔法陣が敷かれていた。

 その魔法陣の中央に置かれているのは、人間のどくろ髑髏と大量の土。見た目は極々、普通の土だ。だが見るべき者がそれを見れば、普通の土とは明らかに違う事を見抜くであろう。

 部屋には一人の少女と中年の男。そして少女の後ろに寄り添う様にして立つ、眼光鋭い、黒衣を纏った男がいた。

 中年の男性は手を合わせながら、魔法陣の中心を凝視していた。

少女は左手を天にかざ翳し、両目を閉じて何事かを呟き始めた。

 少女の言葉は誰にも聞くことはできない。

 ……この世に生を受けている限りは……

 汗が額から藍色の絨毯に滴り落ちる。

 少女の汗を、黒衣の男が手に持った布で無表情のまま拭う。

一心に詠唱すること、約三十分。

 魔法陣の中央に置いてあった髑髏を中心に、大量の土が髑髏の周りをまるで意思があるかのように旋回し始めた。

 砂塵が止むと、そこには一人の少年が裸で横たわっていた。

 「コウッ!」

 中年の男は涙を流しながら、歓喜の表情でその少年に駆け寄る。

 「え、お、お父さん?」

 突然父親に抱きしめられた少年は、何が起こったのかわからないようだ。

 黒衣を纏った男が少年の父親に無言で着物を手渡す。

 「よかったですね、『リバイブ死人返り』は成功です」

 少女は疲れ切ってはいたが、満面の笑みでそう言った。

 「有難うございます、有難うございます。このご恩は一生忘れません」

少年の父親は地べたに何度も頭を擦りつけた。

 少女は両手を振りながら、

 「いいんですよ。それより、今度こそ有意義な人生を送ってください」

 そう言うと椅子から立ち上がろうとした。