障子糊が如く

ネクロマンサー13

ネクロマンサー13

……今日も誰かが飢えに苦しみ、そして今この瞬間にも誰かが死んでいる……

だが、この楽園に住む人々にはユートの苦悩など分かる訳もない。

「……この偽りの楽園で……人が得るものはなんだろうね……」

ユートは力無く呟いた。

「月夜様ぁ!」

街を歩いているとそんな歓声が聞こえてくる。

「そんなに気にしなくてもいいから。皆さんは自分達の仕事をして」

困ったような顔で言う月夜。だがそう言う月夜の顔もどこか嬉しそうだ。

その傍らには黒衣を纏った精霊のアシュタルがいる。

ただ彼が月夜の精霊であるか、そうではないのかはわからないが。

「何がそんなに面白い、月夜?」

アシュタルはぶっきらぼうに月夜に尋ねた。

「ん?皆、生き生きしているなあ、と思って」

この街に来た時の彼等の顔は見るに耐えないものだった。

……深い闇に彩られた瞳……

……絶望に縛られたその肉体……

……後悔の念が生み出す負の感情……

だが今は、そういったものはもはや人々からは、微塵も感じられない。

この笑顔を見たいが為に、活気を体感したいが為に、月夜は無償でその命の削りながら『死人返り』を施している。

……両親を失った者……

……子を失った者……

……生涯の伴侶を失った者……

……かけがえの無い友人を失った者……

そんな人々が、月夜を頼ってこの街を訪れる。

だが、そんな彼女も万能ではない。