障子糊が如く

ネクロマンサー17

ネクロマンサー17

周りの客達がざわつき始める。

すると、羅刹は椅子から立ち上がり、懐から金を大量に取り出すと、

「主人、すまないが、これで人払いをしてくれないか」

それを店の主人に手渡した。

主人は恐縮そうに『羅刹様からこんな物は頂けません』と首を横に振るが、『頼む』と羅刹が一言そう言った後に頭を下げると、主人もそれ以上は何も言えず、店にいた客達を帰らせ始めた。客達も羅刹が頭を下げたおかげか、すんなりと帰って行った。

 対称的にセインの表情は厳しい。

『羅刹様』という言葉から思い起こす事と言えば、その実力からして『鬼神』とまで言わしめた一人の騎士。

……それほどの相手が敵に回るかもしれない……

羅刹は再び椅子に腰を降ろすと、

「……まず、私が『死人返り』についてどう思うか、か。君達は肉親や大切な人達を失ったことはあるか?あの虚ろな瞳を見た事はあるか?……死者が蘇生されることで、残された者が生きる活力を取り戻すことが間違っている、と言うのか?」

「では、あんたは『死人返り』は行ってもいい、と言うんだな?」

セインの問い掛けに羅刹は一度頷く。

「今度は私から君達に質問しよう。なぜ君達は『死人返り』を非難するような言動をとっているのかね?」

「そんなの決まっているっ!あんたは……」

「別に非難している訳ではないさ」

 興奮のあまり再度椅子を蹴倒したユートとは対称的に、セインは小さな声で呟く。そして空のグラスにゆっくりと視線を向ける。

「セインッ!」

「お前は、もし俺やサンが死んでしまって、蘇生させる方法があるとしたらどうする?どんな犠牲を払ってでも蘇生させたくはないか?俺はその誘惑に勝てる自信はない……」