障子糊が如く

ネクロマンサー19

ネクロマンサー19

 ユートはそこまで言うと、言葉を一旦切った。

「羅刹さん、でしたよね……あなたは考えた事はありますか?『死人返り』が行われる度に、他の誰かが死んでいく……死者にも食料は必要ですからね……」

「……君は何が言いたいのかな?」

 そう問い掛ける羅刹自身、彼が言わんとしている事はわかっている。

「簡単ですよ。あなた方の立場から言えば、『死霊使い』は救世主のような存在でしょう。でも、僕達から言わせてもらえば諸悪の根源としか言い様がない。『死霊使い』がいなければ、この街を訪れる人も減り、食糧のバランスも取れて、新たな死人は確実に減るでしょうから」

 羅刹はユートの視線を真っ向から受け止める。

 「僕はこの街に来てからずっと自問自答を繰り返していました。彼等の幸せを奪う権利など自分にはない。でも……」

 「この状態を黙認は出来ない、か?」

 羅刹の問い掛けに無言で頷くユート。

 そこまで沈黙を守っていたセインが切り出す。

「……これは我々だけの問題では無い。生者全体の問題だ。この状態を放置すれば更に死者が増える」

 セインは腕組みをしながら眼を閉じ、呟く。

 「餓死者がでているだけならばまだいい…問題は更に少なくなった食糧を巡って、暴動や、最悪、戦争が勃発するかもしれない、という事だ」

 「……戦争が起これば数え切れない人達が死ぬ」

 「……この状態で戦争が起これば、最悪、人類は滅亡しかねません」

 三人は羅刹の目を見据える。

 (……いい目だ)

羅刹は三人の目をみつめたまま、

「君達の言いたい事はわかった。だが、忠告しておこう」