障子糊が如く

ネクロマンサー20

ネクロマンサー20

鋭い眼光を放った。

「戦争を起こさない為に『死霊使い』を抹殺する、と言いたい様だが、この街の『死霊使い』を殺そうとするなら、新たな戦いが起こるぞ。なにしろこの街の『死霊使い』は、自分の命を削りながらも、無償で住人を蘇生させている。君達も言っていたが、その存在は死人にとっても残された人間にとってもまさしく救世主なのだよ」

この言葉を聞いてユート、サンの三人が明らかに動揺した。

「『死霊使い』を、彼女を守る為ならば、この街はいかなる犠牲でも払うだろう」

(まずいっ!完全に『死霊使い』暗殺計画がばれてしまっているっ!)

出来るとは思えないが、ここは何としてもごまかさなくては。

「『死霊使い』抹殺とは、大胆なことを言いますね」

ユートは何とかその言葉を紡ぎだしたが、

「……『死霊使い』の抹殺は軍からの正式な命令だ」

セインだけは、ユートの努力を水泡に帰す事実を淡々と羅刹に告げた。

その表情には動揺のようなものは微塵も見当たらない。

「……君は何が言いたいんだ」

羅刹は眉間に皺を寄せながらセインを睨み付ける。

「……戦争を回避するために俺はあんたにわざわざ情報を漏らしたんだ」

可能性はあまりなさそうだがな、という言葉はセインの口からは言われなかった。

「『死霊使い』を差し出せ。命の保証はする。そうすれば俺達が戦う理由は無い」

もちろん、『死霊使い』を生かしておいては、軍は納得しないであろうからなんらかの偽装の必要はでてくるだろう。

セインは羅刹の目を見据える。

「あんたはこの街でも相当な力を持っているようだな。恐らくは『死霊使い』の側近。この条件を『死霊使い』に伝えてくれ。返事は明日、俺が一人でここに聞きに来る」