障子糊が如く

ネクロマンサー3

ネクロマンサー3

しかし長時間の『死人返り』の為、少女の体力は自分が思っていたよりも消耗していた。

 椅子から立ち上がると、すぐによろめいてしまった。

 よろめいた少女を支えたのは黒衣を纏った男だ。

 少女に肩を貸しながら、彼は冷たい口調で、喜び合う親子にこう言った。

 「おい、早く去れ。邪魔だ」

 少女はそんな彼に、

 「アシュタルッ!」

 咎める様な口調で叫ぶ。

 しかし、

 「それに、あんたの息子は、一度は死んでいる。人間に魂があるなら、確かにその体に宿っているのは、あんたの息子の魂だ、が、その体はつきよ月夜が土で作ったまがい物だ。成長することもない」

 彼は、冷酷とも思える言葉を尚も喋り続けた。

 が、これは『死人返り』を望んだ者、施された者、両者が知らなければならない事だ。

 アシュタルは、月夜の体力が消耗しているであろうと、慣れない『死人返り』の説明を月夜に代わって再び説明しているのだ。『死人返り』を施す前には、勿論説明をするのだが、喜びの余り忘れる事があるので念には念を入れて、である。

 「それから、食べ物を摂取してエネルギーを補給しないと、彼の肉体に掛けた呪法が保ちません。食べる周期は人間と同じで結構です。餓死する、ということも有り得ますので。あと、勿論、彼の肉体が傷つけられれば、彼の体は痛みを感じますし、致命傷を負った時には……死んでしまいます。気をつけてください」

 真剣な表情で親子に語り掛ける月夜。

 二人の親子は何度も月夜にお礼を言った後で部屋を出た。

 二人の親子が退出してからしばらくして、アシュタルは月夜を椅子まで連れて行って、彼女を丁寧に座らせた。

 「ありがと、アシュタル」