障子糊が如く

ネクロマンサー21

ネクロマンサー21

本来なら直接『死霊使い』に会いにいけばいいのだろうが、相手がその要求を拒否するのは目に見えている。それ故、セインは羅刹に条件を告げたのだ。一人で来ると言ったのは、自分達に戦意はない、という表れでもある。それと同時に……

セインはそう告げ、席を立った。右手には漆黒の剣を携え、羅刹に背を向ける。

サンも慌てて席を立ち、ユートは金を主人に手渡して小走りで2人のあとを追う。

店には重い沈黙のみが漂っている。

「……ら、羅刹様」

主人はやっとの思いで、その一言だけ言った。

「……今の会話は他言無用だ」

羅刹は厳しい表情でそう言うと席を立った。

主人の心配そうな視線を背中で受け止めながら羅刹は店を出た。

人々の雑踏がいつもより耳障りに聞こえるのはどうしてだろうか。

羅刹は虚空を睨みながらその場に立ち尽くしていた。

「……セイン……どうして……」

歩きながらユートは困惑に満ちた言葉を紡ぎだしていた。

「すまん。奴と会って決心が揺らいだ。どうしても最後の希望を捨て切れなかった」

セインは俯きながら小声で呟くのみ。

「……でもこれで『死霊使い』の暗殺はより難しくなったわね」

サンは声のトーンを落として、簡潔に事実を告げる。

「結局は同じさ。残された街の住人達は決死の覚悟で僕達を襲ってくるだろうからね」

そう、最初からそんな事はわかりきっている。

この街に忍び込んだ彼の部下と共に『死霊使い』を暗殺。これはセインの判断だ。軍の命令は街と軍の正面衝突である。