障子糊が如く

ネクロマンサー22

ネクロマンサー22

なぜ、大きな犠牲がでるとわかりきっている正面衝突を軍が望むのか。

セインにはその理由がわかっていた。この地域は食糧の供給率より圧倒的に人口の比率が大きい。さらにこの街に食糧が集中している為に周辺の街はひどい飢餓に苦しんでいる。

だから、人減らしをしようというのだ。

冗談ではない。そんな上の命令など糞食らえだ。

だからセインは暗殺を選んだ。しかし、暗殺となるとと、『死人返り』で救われたこの街の住人は怒り狂って攻撃を仕掛けてくるだろう。『死霊使い』の存在は死人にとってまさしく『救世主』なのだから。そんな存在を殺してしまうと、残された住人達は、軍に対して死ぬまで抵抗するだろう。そしてその犠牲はより大きくなる。そこで懐柔策として、命を保証したうえで『死霊使い』を投降させる。死に物狂いで襲い掛かってくる相手と戦えば、こちらにも相当な犠牲が出る。

セインはそれを恐れたのだ。

「……でもなんだかんだ言っても、セインも街の人達を殺したくないのね」

サンはセインに微笑みかける。

「違うな」

しかしセインはサンの言葉を冷たく否定した。

「俺は顔も知らない何千何万という人間の命のことまで考えられるほどの力も、余裕も持ってはいない。俺は自分の部下やお前達を死なせたくないから、情報を漏らしただけだ」

 部下を死なせたくないのであれば『死霊使い』を暗殺した後に全力で逃走すればいい。理屈ではそうだ。そうすればこの砂漠に展開している軍が追撃してくる住人達を迎撃する。そもそも暗殺なのだから住人が軍に対して抵抗しても、セイン達に直接の危害は加えられないはずなのだ。セイン達が、『死霊使い』を暗殺した、と住人が知らない限りは。

だが、事はそうはうまく運ばないだろう。軍が自陣や街に犠牲者が少ないと判断すれば、人減らしをする為に何らかの手を打ってきそうだ。その作戦は自分達の犠牲を前提に考案されている可能性が高い。例えば、