障子糊が如く

ネクロマンサー24

ネクロマンサー24

街は悲鳴をあげるかのように、結界に衝突する火球の衝撃で揺れていた。

「こっちよ、月夜っ!」

母に手を引かれて必死に逃げる月夜。

父が今、アシュタルと共に塔に行って街を守っている、という事だけは幼い月夜もわかっていた。

不意に二人の耳に泣き声が聞こえてきた。

幼い男の子が地面にぺたりと座り込んで泣いている。

音遠は泣きじゃくる子供に、

「どうしたのっ!」

子供は泣きながら、

「お母さんが、お母さんがぁぁぁ!」

倒れた家屋を指差した。母親と思われる若い女性が崩れた家屋の下敷きになっていた。一刻も早く助け出し、手当てを施さなくては。

しかし、『死霊使い』である自分は、簡単な回復呪法は使えても、攻撃呪法は使用できない。この大きな家屋は人力ではとても破壊することは出来ない。この家屋から母親だけを引き抜く事も出来そうにない。

途方にくれる音遠の目の前でいきなり巨大な家屋の残骸が轟音と共に破壊された。

「何をぼやぼやしているっ!」

声の主に眼を向けると、頬に一本の深い傷が走っている騎士が叫んでいた。羅刹だ。真空波を発生させて家屋を破壊したのだ。

「早く逃げろっ!ここも限界に近いぞっ!」

羅刹はそう叫ぶと音遠に背を向け、走り去っていった。住人の避難の手助けの為だろう。

すぐさま子どもの母親に回復呪法を施す。

「こ、ここは……」

幸い、母親はすぐに気がついた。頭を振りながら立ち上がる彼女は、まだ何が起こっているのか把握しきれていないようだ。

「早く脱出しましょうっ!」

若き母親にそう叫ぶと、彼女は月夜の手を引いて、幼い子供と共に逃げ始めた。途中何人かと合流し、十数人の団体を形成しつつ、もうすぐで街を脱出できると思われたその時