ネクロマンサー4
ネクロマンサー4
「……無償でこんな事をして、何になると言うのだ、月夜」
礼を言う月夜に対し、彼の口から出たのは彼女に対する非難の言葉だ。
冷たい視線で月夜を見下ろすアシュタル。
「……それでもいいよ。私は自分の正しいと思う事に、この力を使っているんだから」
疲れ切って、だらしなく足は投げ出され、腕はだらりとしていたが、毅然とした口調で月夜は天井を見上げながら呟いた。
「……馬鹿、と言うのだろうな……」
アシュタルは冷ややかな視線を月夜に向ける。
「……が……そういった月夜の性格は……」
アシュタルはそう言って月夜から視線を逸らした。
天井を見上げていた月夜はアシュタルの方を見て、
「……もう、三年になるんだね」
ぼそりと呟いた。
アシュタルは無言だ。
しかし、その瞳には激情が渦を巻いている。
「……もう、三年になるんだね」
月夜は全く同じように、抑揚の無い声で、そう呟いた。
アシュタルは月夜の部屋にまで付き添い、充分体力も回復したと判断したのだろう。彼は何も言わずに部屋を出て行った。
月夜は椅子に座り、一つのネックレスを手に取って、机にうつ伏せになりながら長い間ただ黙ってそれを見つめていた。
しばらくすると、月夜はベッドで眠ろうと、腰掛けていた椅子から立ち上がる。
それと同時にドアを叩くノックの音が聞こえてきた。
「はい」
月夜がそう言うと、ドアの向こうから一人の男が現れた。
名をらせつ羅刹と言う。彼は月夜の父の古くからの友人だ。黒髪に長身そうく痩躯。頬には大きな傷がある。