障子糊が如く

ネクロマンサー6

ネクロマンサー6

羅刹の方に振り向くと、月夜は目を擦った。

「だから、私の事は心配しないで。お母さんと、お父さんが見守っててくれるから」

無理に微笑んで見せる彼女の顔を見ると、羅刹は何も言えなくなってしまった。

「ね、私は大丈夫だから」

月夜は笑顔で羅刹の背中を小さな手で押す。

「……月夜……」

羅刹の言葉に月夜は反応せずに、なおも背中を押し続ける。すると、

「……今日はもう寝る。明日、また……」

振り返らずに羅刹はそう言うと、ベッドから立ち上がり、部屋を出て行った。

明るい笑顔で『じゃ、また明日』、と言う月夜。

月夜の体力と呪力は問題ないだろう。

だが、あくまで今の所、だ。

自分を心配させまいと、気丈に振舞う月夜の姿に、羅刹はぎりぎりと拳を握り締めながら廊下を歩いていった。

「ここも大きくなったものだ」

城のバルコニーから街を見下ろしたアシュタルはぼそりと呟いた。

「この街が形成されて三年、か…早いものだ」

輝く星を見上げるアシュタル。しかし、その視線はどこか悲しげだ。

「……ひじり聖……」

かつてのこの星は、今の姿からは想像も出来ない程、豊かな星であった。

『しげんせい四源精』と呼ばれる四大精霊が、三年前まではこの星に多大な恵みと、永久の平和を与えていた。その代償は人間の魂。三年前までは一年に一回、一定数の人間の魂を神官達が狩り、彼等四源精にその魂を供えることで、この星の安定は保たれていた。