ネクロマンサー7
ネクロマンサー7
しかし、三年前、どういう事情かはアシュタルにはわからないが、その『狩り』は突如中止された。魂というエネルギーを失ってしまった『四源精』は衰えていき…この世界は崩壊しかかった。
そして、その時は三年前のとある日にやってきた。
街は人々の悲鳴と怒号で満たされていた。
地は裂け、
川は氾濫し、
空には雷鳴が鳴り響く。
更にはエネルギーの不均衡から発生したであろう空間の狭間からは、巨大な火球が無数に地に降り注ぐ。
人々は必死に逃げた。しかし、そんな人々を嘲笑うかのように、地は、川は、空は、火球は、人々を死の淵へと誘う。
街の中心に位置する塔で結界を張り続ける月夜の父、聖は鳴動する結界を必死で支えながら、自分の精霊であるアシュタルに向かって視線を走らせる。
その視線に応え、飛来する火球に対し、アシュタルは空間から火球を数個出現させ、天から降り注ぐ火球を迎撃する。凄まじい轟音と衝撃波が塔の近辺の家屋をなぎ倒す。塔の周辺には火球の破片が、ぱらぱらと落ちてくる。
しかし、彼が攻撃呪法に特化した『破壊の精霊』であっても、この街に飛来する数多の火球を全て叩き落すことは不可能であった。
塔には絶望感が漂い始めている。
聖と共に結界を張っていた魔法士達はすでに呪力の限界に達し、次々と血を吐きながら、倒れていった。今は聖を含めた僅か三人で街全体を防御する結界を展開している有り様だ。アシュタル以外の精霊では、主人の身を守るのが精一杯、という者がほとんどで防衛力としては数えられない。羅刹を始めとする騎士達は人々の避難を最優先に動いていたので、街の防御までには手が回らなかった。
火球がまた一つ、結界に衝突する。衝撃が塔を激しく揺らす。
「……ぐおっ!……聖……すまん……」