障子糊が如く

ネクロマンサー10

ネクロマンサー10

天を見上げてアシュタルは思いに耽る。

星は彼等の慟哭を聞きはしない。

星は永劫と思える程の永い間、輝き続ける。

恐らくは、聖と同じ様に自分の存在がこの世界から消えてしまっても。

……星は残酷なまでに輝き続ける。永遠に……

「そこの兄さんどうだい、お安くしておくよ!」

この街には活気がある。

三年前とは違い、今は各地で復興が進んでいる。だが世界に数多の街あれど、この街よりも活気がある街はそうないだろう。

行き交う人々の顔全てが輝いている。

悩み、苦しみ、悲しみ……そんな言葉などどこ吹く風、と言っているように見える。

だがセインは彼等を見ていると、逆に悲しくなった。

「セイン、どうしたの?」

セインに話し掛けたのはユートの精霊、サンである。

今、彼女は主人のユートとではなく、セインと行動を共にしている。

「いや、なんでもない」

ぶっきらぼうに言うセイン。

だが、サンは彼の心情を悟ったのか、

「……やっぱり、まだ悩んでいるのね」

セインの顔は見ずにそう呟いた。

人々の雑踏がやけに耳障りだ。

一瞬足を止めた後に、セインは再び歩き出した。

サンは何も言わない。ただ黙ってセインの跡をついて来る。

「……ければならない……てても……」

サンにはその呟きは聞き取れなかったが、セインの言わんとしている事はわかっていた。

(……殺さなければならない……間違っていようとも……この街の人々の幸せを奪うことになっても……)

サンは何もいわずにセインの後ろをついていった。